ドゥコンディショナーとは?

?

ドゥコンディショナーは厨房機器ではありますが、飲食店に関わっている人でもその名前を耳にすることは少ないかと思います。名称からでもどういった用途に使うのかも判別がつきにくいドゥコンディショナーについて今回はご紹介をいたします。

また不要となり売却したい場合などに、どのような点が買い取り時の査定に影響するのかなどについても併せてご紹介をいたします。

1. ドゥコンディショナーについて

解説

ドゥコンディショナーは「dough(ドウ、ドゥ)」=「生地」の調整装置という名前となっていて、穀類から作られた生地の発酵を管理するための装置で、主にパンショップやベーカリーレストランなどで利用されています。呼び方としては「ドウコン」や「ドゥコン」などの略称で呼ばれています。カナ表記でも「ドウコンディショナー」と「ドゥコンディショナー」の2種類があり、各メーカーにおいてもどちらかが使われている状態できちんと統一はされていませんが、本記事では「ドゥコンディショナー」にて記載いたします。

1. 1. ドゥコンディショナーの機能

生地の発酵を管理する装置ということで簡単に説明すると、冷凍/冷蔵状態でパン生地を保管しておき、タイマーで指定した時間にパン生地の発酵を済ませた状態にしておくことができる装置です。

具体的にどのような機能があるかというと

  • 冷凍
  • 冷蔵(解凍)
  • 予熱
  • ホイロ(最終発酵)
の4つの機能を1台でタイマー管理して運用することができるようになっています。

パンの基本的な作り方の流れは「材料を捏ねて生地を作る → 一次発酵 → ベンチタイム(ガス抜き) → 生地の成形 → ホイロ(最終発酵) → 焼成」となっていて、ドゥコンディショナーは成形から最終発酵までの間で利用されます。生地を成型してからも発酵は勝手に進み、発酵不足や過発酵のない丁度良いタイミングで生地を焼成しなければなりませんが、冷凍することで発酵が一時的に停止するのでそこから最終発酵までをタイマー管理することで、指定した時間に生地を理想的な発酵状態にしておくことができます。

それぞれの機能でどういった働きをするのかをご紹介いたします。

  • 冷凍
  • 庫内を-15℃程度までの低温に保ち、発酵を抑制した状態で生地を冷凍保存します。

  • 冷蔵(解凍)
  • 庫内を-5℃~+10℃程度の温度に保ち、冷凍した生地を解凍しながら冷蔵保存します。生地を解凍する際には生地表面から水分が失われて乾燥しやすいため、設定の細かい改善などが必要となったり、生地の乾燥を嫌ってパン生地の仕込みから焼成までを続けておこないドゥコンディショナー自体を使用しない職人の方もいたりするようですが、近年では庫内の風量や気流などを最適な状態にすることで水分を奪うことなく解凍できるようになっている製品が増えています。

  • 予熱
  • 庫内をヒーターで加熱して+25℃程度までの温度を保ち、冷蔵状態の生地を最終発酵に向けて温めます。庫内温度上昇による生地の乾燥を防ぐために50%~95%程度の間での庫内湿度の設定も可能となっています。

  • ホイロ(最終発酵)
  • 庫内の温度を+40℃程度まで、湿度を50%~95%程度の間に保った理想的な状態で生地を最終発酵させます。

1. 2. 本体の形状

ドゥコンディショナーの本体形状は大まかに分けると2種類あります。

  • テーブルタイプ
  • 幅:750mm~1200mm

    奥行:800mm~1200mm

    高さ:850mm~1050mm

    上記サイズを目安とする低身長で小型タイプのドゥコンディショナーです。上部の天板を作業台として使用したり、そのまま上に類似したサイズのオーブンを設置したりするなどで厨房内スペースを節約できますが、小型のために生地が保管できるのは1室のみで庫内容量も少ないため、パンの生産数がそれほど多くないところや、メインのドゥコンディショナーが別にありサブ機器として運用する場合に採用されることが一般的です。

  • 2室独立制御タイプ
  • 幅:750mm~900mm

    奥行:1050mm~1250mm

    高さ:1900mm~2000mm

    上記サイズを目安とする高身長で縦型タイプのドゥコンディショナーです。テーブルタイプと比較して2倍近い高さで上下に2室分かれた構造をしており、それぞれ独立して制御をおこなえるため、発酵に最適な温度や湿度が異なる生地を同時に発酵させたり、片方で冷凍しながらもう片方で発酵させたりするなどの様々な使い方が可能です。類似したサイズで1室だけのタイプもあり、使い分けをする必要はないけれど一度に大量の生地を処理したいという場合にはこちらの1室タイプのほうが向いています。

1. 3. 給水方式

    ドゥコンディショナーでは湿度調整に水を使用するので給排水設備との接続が必要となるものが一般的です。貯水タンク式という給排水設備との接続が不要なタイプもごく少数ですが存在しますが、水を補給するためにドゥコンディショナーに接続されているタンクを取り外して水道設備まで行き水を汲んでタンクを再度ドゥコンディショナーに接続するという手間がかかるため、給排水設備と接続できないような場所でドゥコンディショナーを使用したいという場合以外で採用する利点はありません。

1. 4. メリット

  • 早朝作業の負荷軽減
  • タイマー管理によって生地の冷凍保存から最終発酵までをおこなえるので、前日の夜に成形した生地をドゥコンディショナーに仕込んでおけば、翌日の朝に出勤してきた際には生地の発酵が完了した状態となっていて、すぐに焼成に取り掛かることができます。パン生地の仕込み開始から最終発酵までには数時間かかるため、ドゥコンディショナーを使用しない場合には夜明け前から出勤して一から作業を始める必要がありますが、ドゥコンディショナーがあれば前日に成形までを完了しておくことで翌日の作業開始時刻を大幅に遅らせることができるので、早朝作業による負担を軽減することができます。

  • 各機能の独立運用
  • 冷凍/冷蔵/予熱/ホイロの4機能は、タイマー管理による連続運用だけでなくそれぞれ単独でも利用可能となっているので、生地の一時的な保存用に冷蔵機能を使用する、発酵用にホイロ機能のみを使用するなど、1台のドゥコンディショナーだけで臨機応変に運用することができます。1日の機器使用スケジュールをきちんと組むことで、冷凍冷蔵庫やホイロ装置を別途用意する必要がなくなり厨房内スペースの節約に繋がる可能性もあります。

  • 冷蔵機能による低温長時間発酵対応
  • 一次発酵の際に冷蔵状態の低温で10時間近く生地を発酵させ続ける低温長時間発酵という発酵の方法があります。夜の間に一晩寝かせることからオーバーナイト法とも呼ばれています。低温状態では生地の発酵がゆっくりと進むため、その状態を長時間保つことで発酵の具合が変わり、通常よりもしっとりとして甘味が増した生地に仕上がります。ドゥコンディショナーではタイマー管理で冷蔵ができるため、低温長時間発酵への対応がとても簡単です。

2. お手入れのポイント

お手入れ

せっかく購入した厨房機器はやはり長く使い続けたいところ。お手入れをすることで部品にかかる負荷が減り機械が長持ちしますので、そのポイントをご紹介いたします。

2. 1. 庫内清掃

冷凍からホイロまでをカバーするドゥコンディショナーは、庫内の温度が-15℃~+40℃程度まで変化する、湿度が95%程度まで上昇する、パンくずが残りやすいなど、庫内にカビや錆がとても発生しやすい環境になっています。そのため、ホイロ完了時や一日の稼働終了時などに、庫内のゴミを取り除いて乾燥した布で庫内全体を拭き取るだけでもカビや錆の発生を抑制できます。余裕があれば中性洗剤を使用したり、拭き掃除完了後にしばらく庫内を乾燥させたりすることでより高い効果が見込めます。

2. 2. コンデンサーのフィルターとドアパッキン

ドゥコンディショナーは冷凍/冷蔵機能を持っていてその部分の仕組みは業務用冷凍冷蔵庫と変わらないため、同様にコンデンサーのフィルターやドアパッキンのお手入れが必要です。やり方については以下の記事でご紹介をしています。

関連記事:業務用冷蔵庫とは? / 2. お手入れのポイント

3. 中古買取時のポイント

買取

中古厨房機器を取り扱うミツギ厨機が買い取りの際に注目するポイントをご紹介いたします。ご紹介する点の状態が良ければ査定時の評価が高くなります。

3. 1. 製造年式

「製造から8年以内」が買取限度の目安となります。製造年式はステッカーに記載された製造年または型番や製造番号から判別することができます。買取可能な期間を過ぎる前に売却して新しいものを購入するのも一つの手です。

3. 2. 外観

大きな傷やへこみがあるとマイナス査定となってしまいます。汚れが目立つのもマイナス査定となってしまうので査定の前に掃除しておくと良いでしょう。

3. 3. コンデンサーの状態

コンデンサーが正常に働かないと庫内が冷えなくなり、コンプレッサーや他の部品に影響を及ぼして機器自体の寿命が短くなってしまうのでマイナス査定となってしまいます。

3. 4. ドアパッキンの状態

ドアパッキンに裂けがある場合にはマイナス査定となってしまいます。

3. 5. 庫内の状態

錆がひどい場合にはマイナス査定となってしまいます。

5. おわりに

ベーカリーの作業環境改善にとても役立つドゥコンディショナーについてご紹介をいたしました。本記事がこれからドゥコンディショナーを購入する方などへのご参考になれば幸いです。

また、ミツギ厨機では中古厨房機器の買い取りを随時おこなっておりますので、売却をご検討の方はお気軽にお問い合わせくださいませ。

作成日: / 最終更新日:

お問い合わせはこちら 販売・買取について
ミツギ厨機ロゴ

著者

比留間 豊

ミツギ厨機現代表。中古厨房機器の買取や販売に以上に亘って携わっており、その中で培ってきた知識や経験に基づいた厨房機器に関するお役立ち情報を発信してまいります。