業務用フライヤーとは?

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飲食店のメニューでは、唐揚げ、とんかつ、エビフライなどの様々な揚げ物が提供されていますが、そんな揚げ物を調理するのにとても役立つのが業務用フライヤーです。今回はその業務用フライヤーについてご紹介をいたします。

また不要となり売却したい場合などに、どのような点が買い取り時の査定に影響するのかなどについても併せてご紹介をいたします。

1. 業務用フライヤーについて

解説

揚げ物を作るだけなら天ぷら鍋を使えばよいのですが、常に温度管理に気を遣う必要があることや、高温の油を扱うために取り扱いには十分に注意する必要があるなど、飲食店の業務として使用するにはハードルが高く、大量調理することも天ぷら鍋のサイズ的には不向きです。それらの問題を解決し、簡単に大量調理することを可能としているのが業務用フライヤーです。

1. 1. 業務用フライヤーの特徴

業務として使用するために搭載されている機能をご紹介いたします。

1. 1. 1. 温度設定が可能

天ぷら鍋での温度管理をおこなうためには温度計を見ながらの作業となり、温度が下がりすぎれば火力を強めて上がりすぎれば火力を弱めなければならず、目を離すこともできないためにとても手間がかかります。業務用フライヤーではダイヤルやパネル操作による温度設定が可能で、油温が設定した温度に到達するとその温度を自動的に保持し続けるため、油温に応じた火力の調整が不要となり、新人のアルバイトでも適切なマニュアルさえ用意すればすぐに調理作業を任せられます。

1. 1. 2. 安全機構の搭載

通常は設定温度に保たれる油温ですが、何らかの原因で温度調整が機能しなくなり加熱が続けられることで、油が発火する温度に達してしまう可能性があります。そのような可能性を考慮し、業務用フライヤーには温度調整のためのセンサーとは別にハイリミットと呼ばれる油温の上昇を検知する機構が搭載されていて、油温が一定の温度以上になると強制的に加熱を停止させてしまいます。他にも、空焚き防止やガスフライヤーでの炎の立ち消え時の自動ガス遮断機構が搭載されているものがあるなど万が一の事態が考慮されているので、天ぷら鍋での調理と比べるととても事故が起こりづらい作りをしています。

1. 1. 3. 大容量の油量

揚げ物を多く提供する飲食店では、一般家庭とは違い大量に揚げ物を調理する必要がありますが、天ぷら鍋ではサイズがそれほど大きくないので一度で大量に調理することができず少量で繰り返し揚げ続ける必要があり時間と手間がかかります。業務用フライヤーは揚げ物を調理する油槽が大きいものが用意されているので、揚げ物の大量調理にかける時間と手間が少なくなります。

1. 2. 本体のタイプ

業務用フライヤーでは大まかに加熱方式と設置タイプで分類できるので、それぞれの特徴を説明します。

1. 2. 1. 加熱方式

油槽の内部に設置されたヒートパイプを加熱することで油槽内の油に熱が伝わる仕組みとなっています。ヒートパイプの加熱方式は主に下記の3種類です。

  • ガス式
    極太のヒートパイプが油槽を貫通する形で固定されていて、ヒートパイプの内部からガス火を当て続けることで油槽内部へ熱を伝えます。メリットとしては3種類の加熱方式のうち、製品の価格はガス式が最も安価です。デメリットとしては、安全に使用できるように作られた業務用フライヤーですが、ガスと火を使うためにその他の方式と比べると安全性が低いと言えます。また、排熱が多いので厨房内が暑くなりやすいです。さらに、ガス接続のために設置場所が若干限られます。
  • 電気式(電熱式)
    ヒートパイプが細いシーズヒーターとなっていて、パイプの内部に通っている電熱線に電気を通すことで発生した熱を油槽内部へ伝えます。電源のタイプは3相200Vタイプが主流でこちらはガス式に近い火力があります。単相100Vタイプもありますが、こちらはメインの調理機として使用するには火力が弱いので、揚げ物があまり出ない場合や他のフライヤーと併用できる場合に使用するとよいでしょう。電気式のメリットとしては、火とガスを使わないために安全性が高く、排熱が少ないので厨房内が暑くなりにくいです。また、シーズヒーターは油槽に固定されておらず、レバー操作によるスイングアップや取り外しが可能となっていて、ガス式では油槽を掃除する際に固定されたヒートパイプがとても邪魔になりますが、電気式では邪魔をするものがない状態で掃除できるので手間が少ないです。さらに、電気を使うことでデジタル制御が可能となり、加熱温度と調理時間の複数メニュー登録機能やフライカゴを自動的にリフトアップする機能が搭載されたフライヤーがあります(ガス式も単相100Vの電源を併用することで同様の機能を搭載しているものがあります)。デメリットとしては、2槽式のような油槽の容量が大きいものでは、3相200Vの電源が2つ必要となったり電源の直結が必要となったりするので相応の準備が必要です。また、ガス式よりも製品の価格が高価になります。
  • IH式
    ガス式のように極太のヒートパイプの内部から電磁誘導でヒートパイプ自体を加熱させるものと、ヒートパイプを使わずに油槽の底面を電磁誘導で加熱するタイプの製品があります。IH式のメリットとしては、熱効率が良いので最も火力が強く、電気式よりも電気代が安価になります。底面加熱タイプであれば油槽内を遮るものが何もないので、少ない油で一度にたくさんの食材を調理することができるうえに掃除も簡単です。また、ヒーターが表に出てこないので、持ち上げたヒーターに触って火傷する心配もなく、安全性がさらに高いです。デメリットとしては、電気式と同様で、製品価格については電気式よりも高価になります。

簡単にまとめると、

  • 火力:IH式 > ガス式 > 電気式
  • 安全性:IH式 > 電気式 > ガス式
  • 作業効率:IH式 > 電気式 > ガス式
  • 価格:IH式 > 電気式 > ガス式
のようになり、価格さえ気にしなければIH式が最も高性能ではありますが、そこまでの性能はあまり必要とされておらず人気がありません。価格の安さと業務用の厨房スペースであれば概ね工事の必要がなく使用できるガス式が根強い人気を誇っていて、何らかの事情でガスが使えない場合や快適な作業環境を求める場合などで電気式が採用されることが多いです。

1. 2. 2. 設置タイプ

一般的な飲食店で使用されている業務用フライヤーの設置タイプは下記の2種類です。

  • 据置型
    フロアに設置する大型サイズのタイプです。厨房内に設置するためのスペースが必要になりますが、大型の油槽で調理できるので揚げ物の注文数を多く見込む場合に向いています。油槽の下部に廃油口があり、油交換の際には油缶を下に置いて廃油口を開けるだけで油が缶に落ちるので廃油が簡単です。設置しようとしたがサイズが大きくて入りきらない、設置したけれど実際に使ってみると使いづらい位置だったというケースも少なくないので、導入前には設置場所のサイズ測定や作業動線の確認をしっかりおこないましょう。
  • 卓上型
    台上に置ける小型サイズのタイプです。小型ということで油槽も小さく大量調理には向いていないので、揚げ物は扱うけれど注文数をそれほど多く見込まない場合に向いています。廃油口の有無があり、廃油口がないタイプでは油交換の際にフライヤー自体を傾けて油槽内の油を排出しなければならず手間がかかるため、導入前に確認しておきましょう。加熱方式の説明時にガス式が人気と言いましたが、卓上型では電源コードが繋げればどこにでも置けて、小型であれば単相100Vの低火力でもさほど問題がない電気式が人気です(大き目のサイズで3相200Vが必要な電気式卓上型フライヤーもあります)。

1. 3. 特殊な業務用フライヤー

油の劣化を抑えたり揚げの質を良くしたりするために、油に電波振動を与えるものや、油の層の下に冷たい水の層を設ける等の特殊なフライヤーが存在します。これらのフライヤーを使用して実際に効果があったとの声も多くありますが、油、食材、纏わせる衣、使い方等は店によって異なるため、実際に使ってみたら期待していた程の効果がなかったという可能性も考えられます。製品によっては貸し出しをしている場合もあるので、導入前に試験運用して効果を実感してみると良いでしょう。

2. お手入れのポイント

お手入れ

せっかく購入した厨房機器はやはり長く使い続けたいところ。お手入れをすることで長持ちしますので、そのポイントをご紹介いたします。

2. 1. 油槽

油槽は毎日必ず一度は業務終了後などのタイミングで清掃してください。手間のかかる作業ですが、油槽の清掃を怠るとフライヤーの寿命を縮めるだけでなく油の劣化を促進することになり、お客様に提供する料理のクオリティ低下にも繋がります。

  1. 油缶に油槽内の油を移す
    機器使用直後で油が高温のまま排油をおこなうと油漏れや火災の原因になるので、時間はかかりますが必ず油温が90℃以下になるのを待ってください。
  2. 油槽に水を溜めて中性洗剤を投入してかき混ぜ、水が沸騰するまで加熱する
    水が沸騰してからこするだけでも大まかに汚れを落とせます。
  3. 油槽内の水を捨てる
    熱湯なので火傷に注意してください。
  4. 油槽内の汚れがある部分に中性洗剤をかけてブラシや金たわしでこすって落とす
    油槽内にセンサーがある場合にはセンサーを傷つけないよう十分注意してください。
  5. 油槽内の汚れと洗剤がなくなるまで、水を入れて捨てる作業を繰り返す
    シャワーで水を掛け流せると手早く済ませられます。
  6. 残った水分をキッチンペーパーや乾いたタオルで拭き取る
    水分が残ったまま油を入れて加熱すると突沸して油が飛び散る可能性があるので、必ず乾いてから使用してください。

2. 2. 排気口

排気のあるガスフライヤーでは、排気口に油汚れが付着していると高熱の排気によって火災の原因となる可能性があります。油槽の清掃と合わせて中性洗剤を染み込ませた布巾で排気口付近の汚れを拭き取りましょう。

3. 中古買取時のポイント

買取

中古厨房機器を取り扱うミツギ厨機が買い取りの際に注目するポイントをご紹介いたします。ご紹介する点の状態が良ければ査定時の評価が高くなります。

3. 1. 外観

大きな傷、へこみ、錆などがあるとマイナス査定となってしまいます。汚れが目立つのもマイナス査定となってしまうので査定の前に掃除しておくと良いでしょう。

3. 2. 部品の不足

フライヤーには油缶、仕切り板、仕切り網、すくい網など多くの付属品があり、それらが不足しているとマイナス査定となりますので、しっかりと残しておきましょう。

4. おわりに

揚げ物を取り扱う飲食店では必須とも言える業務用フライヤーについてご紹介をいたしました。本記事がこれからフライヤーを購入する方などへのご参考になれば幸いです。

また、ミツギ厨機では中古厨房機器の買い取りを随時おこなっておりますので、売却をご検討の方はお気軽にお問い合わせくださいませ。

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著者

比留間 豊

ミツギ厨機現代表。中古厨房機器の買取や販売に以上に亘って携わっており、その中で培ってきた知識や経験に基づいた厨房機器に関するお役立ち情報を発信してまいります。